こんにちは。コトノバです。
Phonocut(フォノカット)という
自宅でも簡単にアナログレコードを作れるカッティングマシンをご存知でしょうか?
アナログレコードが自宅で作れるマシン Phonocut(フォノカット)
2019年の秋にクラウドファンディングが行われ、募集開始から7時間で目標額の約2400万円を突破するほどの人気。2020年12月出荷に向け準備が進められています。
ボタンを押すと、お好みの音源を簡単にレコードにできるこのマシンが20万円前後で手に入るとのこと。
Phonocut(フォノカット)は、オーストリアPHONOCUT Maschinenという会社が製造。
レコードは10インチ(25.4cm)で、片面に約10~15分録音できます。
録音する板は1枚で1,000円程度。
回転数は33 1/3回転のみ対応ですが、45回転にも対応する計画とのことです。
2020年の12月に出荷される予定で、キャンペーン価格は、本体とダイヤモンド針付きカートリッジ、さらに専用ブランク盤5枚が付いて1499ユーロ(約18万円)だそうです。
※日本への送料は100ユーロ(約1万2000円)
これを聞いて私は
「おもしろそう」と思うと同時に
今後Phonocut(フォノカット)は、どんな人が、どんな風に使うようになるのだろう?
という興味が湧いてきました。
アナログレコードについて、
また最近の音楽シーンを踏まえ
想像するPhonocut(フォノカット)の可能性
レコードの未来について考察します。
アナログレコードの価値
我が家には1,000枚近くのアナログレコードがあります。CDより多いかもしれません。
特にレコードマニアというわけではなく、私が音楽を聴きあさった学生の頃はまだ、好きな音楽を入手しようと思うと、必然的にレコードだったのが一番の理由です。
でもやっぱり、今思うとアナログレコード自体は好きです。
ジャケットのデザインに魅了され、封を開けた時の匂い、針を落として、ライナーノーツを眺めながら初めて聴く音楽は、心躍らせられるものでした。
音楽という情報を買ったつもりが、
無意識のうちに、レコードというモノ、そしてそれを通じて得られる体験にも、いつもワクワクしていたのかもしれません。
無駄を削ぎ落としたCD、そしてストリーミング
今はウェブでのストリーミング・ダウンロードが主流ですが、思い返せばCDになった頃から、シンプルに「音楽を買う=情報を買う」という図式に変わったような気がします。
大きなアナログレコードは場所をとる。
それに対して
純粋に「音楽を聴く」という行為のためには、レコードという「モノ」は無駄な要素。
そこでコンパクトなCDに変わり、さらに音という情報だけをストリーミング・ダウンロードするという時代こ流れはとても理にかなっています。
ただ、そんな中で、今なぜまたレコードなのでしょうか?
最近、にわかに若い人たちの間でも、アナログレコードが注目され始め、ついにカッティングマシーンまで販売されるのはとても面白い現象です。
音楽は無料。ライブという体験にこそ価値を
レコード→CD→有料ダウンロードと来て、最近では音源そのものも無料で配信するアーティストが増えてきました。
youtubeなどで、個人が勝手にどんどん音源を流せるようになる中、音という情報そのものにお金を払うことすら、その意味が薄れているのでしょう。
そんな中で、ライブに足を運ぶ人が急増しています。
みんなその瞬間、そこでしか味わえない体験にこそ、一番の価値を感じるようになっているのだと思います。
ライブ音源さえyoutubeで見放題な今、情報そのものよりも体験を求めているのかもしれません。
1枚1,000円。インスタントカメラの写真を何枚も買い続ける人たち
先日、20代の女性社員と話していて驚いたことがあります。
彼女は、好きなインディーズバンドのライブに毎月のように各地まで足しげく通い、その度にグッズや写真を購入するそうです。
驚いたのは、その写真の購入。
その場でプリントされるインスタントカメラ「チェキ」で撮った写真が1枚1,000円。これを1回のライブの度に5〜10枚購入するそうです。
なんで買うのか、と尋ねると
「アーティストと過ごしたその瞬間の記録は、その1枚しかないから!」
だそうです。
ライブというその時だけの特別な体験
これを写真という「モノ」に記録して、持ち帰るということなのでしょう。
レコードを自宅で作れるPhonocut(フォノカット)の可能性
Phonocut(フォノカット)が出ると知った時
「レコードを自宅で作れるなんて、かんかすごい!」
と思いました。
ただ、いわゆるレコードマニアの方々が買うイメージはあまり持てませんでした。
「じゃあ、誰か使うのか?」
Phonocut(フォノカット)で作られたレコードは
案外、「聴く人」ではなく「音を発信する人」に使われるのではないか?
と思っています。
先ほどお話ししたチェキのように
その瞬間にしかない音にレコードという付加価値をつけてパッケージし、人に届けるツール。
例えば、
ライブをリアルタイムで録音したり
アーティストが1発どりの演奏を録音したり…
その瞬間にしかできない音の体験を収めることで
世界でたった1つのレコードとして、高い価値が生まれる。
レコードからストリーミングへ
音楽という「情報」だけに削ぎ落とした結果、
今度は、その瞬間にしか味わえないコト、体験をレコードというパッケージに収めることで
それを手にする人の、大切な宝物になっていくのかもしれない、
などと思ったりしています。
そんなことを書いていると、また久しぶりにアナログレコードを聴きたくなりました。
昔、ドキドキ、ワクワクしながら封を開けた時の気持ちを思い出しながら、週末はのんびり
レコードを楽しんでみようと思います。
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